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「今後の話?」
「僕は神野さんからあなたの当面の生活の面倒をするように言われています。そして今日は生活資金を預かってきています」
「…」
「でもこういうのは人前でやりたくないんです。それにあなただって嫌でしょう?」
確かにここは人が多い。
だからこの場所でお金のやり取りはしたくないと言うのもわかる。
人気がない所を好むのも分かる。
だけど、私はお金が目的なんかじゃない。
私はキッと睨むと声を荒げた。
「お金なんていらない!!」
高科さんはそんな私に「やれやれ」と肩を竦めた。
そして呆れた顔のまま私を見ながら言った。
「それだけじゃないです。ベッドの中で話でもどうですか?」
「は?」
私は意味がわからなかった。
ベッドの中で話でもってどういう事?
私がポカンと口を開けていると高科さんはニコッと微笑んだ。
その顔は私が知っているワンコの顔だ。
高科さんは立ち上がるとテーブルに手を置き、ズイッと私に近づけながら言った。
「大丈夫、優しくしますから。先輩の事なんか忘れされてあげますよ」
近づいてくる高科さんの顔はワンコなのに、私は彼の顔を見ながらゾクリとした。
…この人怖い。
「ちょ、ちょっと…」
私は恐怖心から手を前に出して高科さんを払い除けた。
すると高科さんは微笑むと私の頬を触りながら囁いた。
「しばらくセックスしてないでしょ?肌が荒れてますよ」
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