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「早坂さん!?」
私が振り向くとそこには早坂さんが憤怒の形相で高科さんを見ながら立っていた。
その表情は爽やかさとはかけ離れていて、凄く怖くて。
ゾクリと恐怖さえ感じる。
私の知っている早坂さんじゃない。
でも…そんな早坂さんがどうしてここに?
確かに会社を出る時はまだ社内にいたのに。
それにこの形相。
私は今、起きている状況が把握できなかった。
「な…なんで?」
すると早坂さんは私に視線を移すと申し訳なさそうに言った。
「ごめん。君の様子が変だったから気になって。だからこっそりついて来た」
「…そうだったんだ」
…そうか。
確かに理沙さんに会う事でソワソワしてかもしれない。
できるだけ気づかれないようにしてたけど早坂さんは気づいていたんだ。
気にしてくれてここまで来てくれたんだ。
私は早坂さんを見た途端、ホッとした。
早坂さんは謝ってたけど、そんな事ないよ。
…助かった。
「行こう。もうここにいる事はない」
早坂さんはそう言うと私の荷物を持ち、逆の手で私の腕を引っ張り席から立ち上がらせる。
「あ…」
私は立ち上がる時に勢いで体のバランスを崩し、早坂さんの胸にコツンとぶつかると抱き寄せられた。
高科さんはそんな私達を顔色一つ変えずに見ていた。
でも私達は無視するかのように歩き出すと後ろから挑発的な声が聞こえてきた。
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