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「なーんだ。男いるんじゃん」
その声に振り向くと高科さんはニヤリと挑発的な表情をしていた。
「違う!早坂さんはそんな人じゃない」
私は即座に反論した。
でも高科さんは信じようとしない。
逆に小馬鹿にするような言い方をした。
「だったらわざわざ会う事なんかなかったですね」
高科さんはそう言うと肩を竦めた。
その顔は「これで勝負あり」と勝ち誇った顔をしている。
きっと理沙さんに私が早坂さんと浮気しているとでも言うのだろう。
これをネタにコウと離婚すると思うのだろう。
…そんな事ない!違う!
でも私の言葉なんか耳に入らないと言った感じだ。
すると早坂さんは高科さんの前に立つと真っすぐ見つめながらゆっくりと言った。
「彼女の名誉の為に言っておくけど、君が思っているような関係じゃない」
「へぇどうだか」
「君がどう思うが構わない。もう何を言っても通じないと思うからね」
「…」
「だけど彼女にした事を絶対に許す事は出来ないし、今後も彼女に何かしようと思うなら黙っていないよ」
早坂さんの言葉に高科さんの口数が減っていった。
そして最後は何も言おうとしなかった。
いや、たぶん早坂さんの凄みに何も言い返せなかったのだろう。
ただ冷めた目で私達を見ていた。
「行こう」
そう言うと早坂さんは私の肩を抱きかかえるように歩き出すとラウンジをあとにした。
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