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コウは夢への一歩を進もうとしている。
理沙さんと言う同志であり恋人と共に叶えようとしている。
そんな二人を私が引き止めてていいの?
コウは私を幸せにしてくれた。
それはありがとうの一言ではすまされない位に大きなもので。
私はコウに対して感謝の気持ちでいっぱいだ。
そんなコウが夢を叶えようとするのなら応援してあげたい。
私がコウにできる事…。
そんなのわかっている。
私は…決断をしないといけないね。
そう思うと涙がどっと溢れてきた。
でも早坂さんの隣で泣く訳にはいかないから慌てて目を押さえた。
それでも涙は止め処なく流れていく。
すると早坂さんはそんな私を黙ってそっと抱きしめてくれた。
早坂さんの腕の中は温かくて。
コウとは違ういい匂いがして。
ボロボロの雑巾のような私をすっぽりと包んでくれる。
「…すいません」
私はそんな早坂さんに申し訳なく感じて謝った。
だって私は彼女じゃない。ただの同僚だ。
それなのにここまで優しくしてくれるなんて…本当に申し訳ない。
すると頭の上から早坂さんの優しい声が聞こえてきた。
「いいんだよ。こういう時は思いっきり泣いた方がいい」
その言葉は自分の中で我慢していた何かを壊していく。
ああ…そうか泣いていいんだ。
私は早坂さんの言葉に甘え、子供のように泣きじゃくった。
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