私があなたにできる事

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「えー…と。コウの声が聞きたかったの」 私はコウの勢いに対して紛らわすように言った。 「ふーん。そっか…って何であんな切り方すんだよ」 コウは一瞬納得したような反応を見せたが、さらに突っ込んできた。 「だって…」 私はそう言うと唇を尖らせた。 高科さんから話を聞いたよ。 理沙さんと一緒にいたんでしょ? それに電話の向こうから理沙さんの声がしたよ。 私知っているんだからね。 と言葉が次々と浮かんできたけど、それが声になる事はなかった。 グッと堪えた訳でもない。 これを言う事でのコウの反応が怖かったからだ。 でもそれなりの返事をしないとコウは納得しない。 だから私は精一杯の遠回しな言い方をした。 「誰かいたんでしょ?」 私はそう言うと黙った。 その言い方は遠回しなんだけど、含みがあって自分で言いながらズルイと思った。 まるで「知っているんだよ」って言ってるように思うかもしれない。 コウ、ごめん。私ズルイから。 臆病者だから自分から聞く事が出来ない。 だからコウから理沙さんと会ってた事を言って欲しい。 コウからの言葉なら、どんな理由でも…受け入れるから。 私は黙ってコウの返事を待った。
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