私があなたにできる事

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決断をしてから数日。 コウが沖縄から帰って来る日を迎えていた。 この数日間は慌ただしくて。 1日があっという間に過ぎていって。 でもなんとかコウが帰ってくるまでに全てを終わらせられた事にホッとしていた。 その日、私はいつものようにコウのベットで目が覚めた。 そしてまだ頭がぼんやりしている状態で部屋全体を見渡した。 大きなベッドにデスクと本棚、クローゼット。 そしてデスクに飾ってある幼き頃の私達の写真。 相変わらず必要最小限のものしかない部屋。 でも凄く落ち着く。 コウは沖縄に行っていないんだから自分の部屋で寝ればいいのに何故かこのベッドで寝てしまう。 だってこのベッド広いんだもん。 ふかふかで温かくて。 この部屋全体から漂ってくるコウの匂いが私を包み込んでくれて。 まるでコウが近くにいる様に感じる事が出来て。 だから私はこの部屋が好きだった。 でももう起きないと…。 会社に遅れてしまう。 それに今日はやらないといけない事がある。 私はむくりと起き上がるとリビングに向かった。 そしてテキパキと支度をするとソファに座り、深呼吸した。 「よしっ!」 私はそう言うと携帯電話を手にしてコウに電話した。
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