私があなたにできる事

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「ミウ?」 コウは数回のコールで電話に出た。 その声はまだ早い時間なのにもう起きていますって感じで。 私はてっきりまだ寝ていると思ってから意外だった。 「コウ、起きてた?」 「ったく起きてるに決まっているだろ」 コウは呆れたように言った。 そんなコウに私は「ふふっ」と笑ってしまった。 「いつもはまだ寝ている時間なのにね」 そう。コウは遅刻はしないものの朝が弱い。 家にいる時はたいがい私の方が先に起きていてコウを起こす位だ。 でもその事を言われるのが嫌らしい。 コウは不機嫌そうに「ったくうるさいな」言うと逆に私に聞いてきた。 「で、どうした?」 「今日だよね?帰ってくるの」 「ん。たぶん最終になると思うけどな」 「そっか。気をつけて帰ってきてね」 私はそう言うとコウに分からないように短く深呼吸した。 そしてコウの名前を呼んだ。 「…ねえコウ」
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