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一粒の涙が流れ落ちたかと思うと次から次へと溢れ出てきた。
涙は止まる事なく流れ続ける。
きっと今の私は情けない顔をしている。
でもコウは気づいていないだろう。
目元は涙で赤くなっているのに何故か微笑んでいる私を。
だから私は涙を拭く事なくぼんやりとリビングを見ながら言った。
「ふふっ。ありがとう。私もコウが好きだよ。うん。大好き」
「…」
「だから私、コウの事応援しているから。他の誰よりもいっぱい応援するから」
「ミウ?」
コウは私の言葉に違和感を感じたのか不思議そうに私の名前を呼んだ。
その声が胸にズキッとくる。
胸がズキズキして喉が熱くなって声にならない。
でもどうしても言いたい言葉がある。
だから私は上擦った声でゆっくりと言った。
「だから…これからもがんばってね」
「ミウ!」
さすがに私の異変に気づいたのかコウは慌てたように私の名前を呼んだ。
…もうこれ以上話せない。
これ以上話すと心が揺れてしまう。
だから私はコウが何か言おうとしているのを遮るように言った。
「もう出なきゃ遅刻しちゃう。それじゃあね」
私はそう言うと一方的に電話を切った。
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