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「あ、あのね…昨日」
理沙さんに会ったんだ。
それでコウが私と結婚した理由を教えてくれたよ。
理沙さんの会社を守るために結婚したんだってね。
そのおかげで会社が軌道に乗ったって。
コウの夢である海外での仕事も手に入れたって。
だから一緒にアメリカに行きたいって言ってたよ。
パートナーとして迎えたいって言ってたよ。
どうするの?アメリカ行くの?
ねえコウ。教えて。
あなたの心にいるは誰?
って言いたいけど喉から声が出てこない。
いや、出てこないんじゃなくて言えないんだ。
だって言う事で私達の関係が終わりを迎えそうだから。
そんなの無理。まだ気持ちの整理が出来てない。
だから…言えない。
私が黙っていると電話の向こうからコウの声が聞こえてきた。
「おまえ、かなり飲んだだろ?」
「へ?」
「二日酔い」
私はコウの言葉に拍子抜けした。
二日酔いって…。
そうだよ。コウは理沙さんに会った事知らないんだもん。
華ちゃんと飲みに行ったと思っているんだから、飲み過ぎだと思うよね。
でも今はそう言ってくれる方が気が楽だった。
「あ…そ、そうかも。あはは」
私はそう言うと乾いた笑いをした。
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