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「あ…どうしよう」
私は電話を切るとベットにゴロンとなった。
そしてさっきの会話を思い出していた。
コウは誘いがあったら受けると言っていた。
それだけコウの中では叶えたい大きな夢なのだろう。
そしてそれはコウだけではなくて私の夢でもある。
だから応援してあげたい。
私の幸せを擲ってでも叶えさせてあげたい。
理沙さんはそんなコウにチャンスを与えてくれた。
こんなチャンスを逃すのはもったいないと思う。
だって次はいつになるか分からないから。
コウの夢を叶えるために理沙さんは私に別れろと言ってきた。
私がいる限りコウはアメリカには行かないから。
きっと私から別れ話を切り出せばコウも納得すると思うのだろう。
でもそんな事出来ない。
だってコウが好きだし、別れる気なんてない。
この結婚生活は私にとってかけがえのないものだから。
簡単に終わらせたくない。
やっぱりコウと話そう。
コウの気持ちを知りたい。
コウの心にいる人が誰なのかを。
ちゃんと会って聞きたい。
心にいるのは理沙さんではなくて私だと言って欲しい。
この結婚生活は嘘じゃないって。
でも…もし私ではなくて理沙さんを選んだら…その時は潔く送り出そう。
コウに対して憎しみはないから。
だから理沙さんにはコウが帰って来てから答えると言おう。
それからでも遅くない。
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