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「ミウから何か聞いてるの?」
「はい。全て先輩から聞いています。ダーリンの事、元カノの事。先輩が家を出た理由」
「…家を出た理由」
「先輩はダーリンの夢の為に家を出たんです。元カノと幸せになって欲しいって」
「…そっか。やっぱりな」
ダーリンはそう言うと「はぁ」と溜息をついた。
それは呆れているのではなくて、寂しそうで。
まるで嫌な予想が当たったかのように落胆した声だった。
でも私はダーリンの言葉を聞いて確信した。
ダーリンは先輩の事を愛している。だからこんなに落胆した反応をしているんだ。
もうこれで十分だけど…でもそれじゃダメ。
ちゃんとダーリンの口から聞きたい。
だから私は本心を聞く事にした。
「教えてください。元カノと一緒に夢を叶えたいんですか?それとも先輩に帰ってきて欲しいですか?」
「そんなの決まっているだろ。…ミウに帰ってきて欲しい」
ダーリンは声を振り絞るように言った。
…先輩に帰ってきて欲しい。
ダーリンの言葉は当事者ではない私の心をキュンとさせた。
こんなに想われる先輩が羨ましく感じる。
「ふふふ。それを聞いて安心しました。私は先輩に幸せになって欲しいんです。でもそれはダーリンじゃないとダメなんです。」
「…俺?だってミウは…」
そういうとダーリンは言葉を濁した。
もしかしたら早坂さんの名前を上げようとしたのかもしれない。
違うから。早坂さんじゃダメなんだから。
だから私はダーリンの言葉を遮るように言った。
「先輩に会ってください」
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