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それは今から数週間前。
私、伊集院華(いじゅういん はな)はイライラしていた。
その元凶は…目の前でイジイジしている先輩、小林美羽(こばやしみう)だ。
「ねー先輩、今度美味しいイタリアンに行きません?」
「行かない」
いつもの休憩時間、私は先輩の席に行くと声を掛けた。
昨日雑誌で美味しそうなイタリアンのお店を見つけたからだ。
どうせなら彼氏と行きたいところだが、今の先輩の状況を見ていると声を掛けずにはいられない。
だから声を掛けているのに、先輩ったら…。
全く興味なさそうに言うんだもん。
でも負けないですよ。
私、結構頑張り屋さんですから。
「行きましょうよ。たまにはメンズ呼んで皆で楽しくご飯しましょうよ」
「いいよ。華ちゃん行ってきな」
先輩はフイッとパソコンに視線を移して無言で私に席に戻れと言う。
もうこうなると先輩は何も話を聞いてくれない。
しかも休憩時間終了のチャイムまでなっている。
私は「はぁ」と溜息をつくとがっくりと肩を落とした。
…撃沈。
自席に戻った私はぼんやりと先輩を見ていた。
先輩はパソコンに向かって何やら入力をしている。
きっと傍から見ればバリバリに仕事をしているように見えるけど。
そんな事ない。私にはわかる。
ほら…今だって負のオーラ出しまくっているし。
だから私も気を利かせてダーリンを忘れさせようと思っているのに…これだもん。
はぁ。ここ数か月のこの下げ下げテンションには正直ついていけない。
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