おまけ ~伊集院華の憂鬱 side華~

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早坂渉さん。 この人は仙台から転勤してきたんだけど、とにかくいい人って言葉が似合う人だ。 誰に対しても紳士的な態度で、いつでも話す時はにこやかに爽やかな人だった。 見た目も優しそうなイケメン顔でさ、体型もスマートでスーツをパリッと着こなして、しかも仕事ができる。 だから当然社内で人気もあったんだよ。 まぁ女子社員にはほっとけない存在だよね。 でもなぁ…私からすると少し胡散臭いような。 だってこんなに完璧な人っていないでしょう。 人間ってどこか弱点があってもおかしくないのに、それを全く見せない。 嫌な事があったら顔に出してもいいのに全く出さない。 悪口も言わない。 …まぁ、私が信用ないって言うのもあると思うけど。 でもそれが私にはどうしても引っかかってた。 でもね。だからって嫌いにはなれなかった。 だって優しいし、いい人だし。 まぁ恋愛対象にはなれないけど。 お兄さんみたいな感じかなぁ。 その早坂さんが先輩を好きなのは薄々気がついていた。 この人は誰にでも優しいんだけど、先輩に対しては違っていたんだ。 常に気になっているのか、私と話しながらも視線は先輩に向けてたし、妙に嬉しそうな顔をしているの。 もうわかりやすいっつーの。 それに先輩も早坂さんの事、嫌いじゃなさそうだったし…さ。 だからダーリンを忘れる為にはちょうどいいと思ってた。 二人きりになる時間も作った。 このまま一緒に仙台に行っちゃえって思った。けど…。 …でもダメだった。 やっぱり先輩の中にはダーリンしかいないんだよね。
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