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「んにゃ~~!」
「おわぁ!? 突然なにごと!?」
ヒロを思う存分弄れず、不完全燃焼のアケルはライの部屋に強襲した。
アケルが来てからずっと閉め忘れていたのか、ドアは簡単に開き、ライは都合の良い標的になったのだ。哀れなり。
「ライ君ライ君ライく~~ん!!」
「だだだ抱きつくなって!」
胸に顔を埋めてくるアケルに赤面し、どうしようかとオタオタしては高鳴る鼓動が聴かれていないかと不安と恥ずかしさの板挟みになるライ。アケルは自分好みの反応に内心でほくそ笑んだ。
思う存分ライで遊んだアケルはすっきりとした表情でお茶を飲む。逆にライはげっそりとしていた。精神的な辱しめにかなり堪えているようだ。
「やぁ~ごめんねライ君。反応が面白くてついやり過ぎちゃった」
姿勢を正し、深々と頭を下げるアケルに、ライは慌てて頭を上げるように言う。口調は明るく軽いが、本当に反省しているようだ。
「はぁ。というか、男なのに女装して、まぁ似合ってるんだが、それで同性に抱きつくのって、抵抗ねぇの?」
「無いよ」
あっさりと答えられ、ライは理解に苦しんだが、結局は理解する事を放棄した。自分とは住んでる世界が違うと結論を無理やり出す。
「まぁ、もう趣味みたいな感じだからね。止めようとすれば止めれるけど、止めようとは思わないや」
「え?なんで?」
「う~ん。女装は僕の趣味であり、攻撃手段であり、防衛手段なんだ」
ますます理解に苦しんだが、アケルはあははと笑う。
「子供って無邪気だから、自分達と違うってだけで攻撃の対象にされるんだ」
「お、おう。なんか、悪い」
「気にしてないよ」
本当に気にしてないようで、アケルはスカートの裾を摘まんで見る?と、問うと、ライは赤面した。その反応を見て満足気に笑う。
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