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「わぁー、都市クラスの浮遊島がまるまる学園なだけあっておっきぃー」
飛空挺の甲板から身を乗り出し、遠目に見える浮遊島を見据える女物の服を着た少年。
この少年の名はアケル。
全体的に小振りで、男物の服を着ていたとしても女性と間違える程の容姿。
美少女の中でも頭五つ分飛び抜けている。
「あ、お~い嬢ちゃん!そんな所に居ると落ちちまうぞ~!」
飛空挺の速度が下がり、風が弱く成ってきた為甲板の様子を見に来た船員に注意されたアケル。
風が弱く成ったと言っても、十分強風に値している。
人懐っこい笑みを浮かべながら船員のおっちゃんに小走りで走りよる。
「ごめんなさいおっちゃん!もうすぐ着くって思うと落ち着けなくって」
エヘヘと頭を掻きながら笑う。
「嬢ちゃんも学生かい?時期的に考えて他ん所から転校か?」
「ううん。編入だよ!」
「凄いなそりゃぁ!何処から来たんだ?」
「名前言っても仕方ないから小さな浮遊島ってだけ教えるよ」
「確かにな!幾万も有る浮遊島だ。最低限覚える物覚えたら後は覚える気に成れねぇな!」
これ以上仕事を引き留めるのも悪いので、そろそろ部屋に戻ろうと思うアケル。
「じゃ!僕は部屋に戻るよ!邪魔してごめんなさい!さよならぁ!」
「おう!じゃあな!」
小走りで船内に駆け込んでいくアケルの背中に別れの挨拶をするおっちゃん。
割り振られた部屋に駆け込みそのままベッドにダイブする。
甲板から止まらずに走った為、呼吸が乱れて頬が軽く赤く上気している。更にはうっすらと汗をかいていた。
「はぁ……はぁ……はは」
これからの生活を思い描くと知らず知らずの内に頬が緩む。これからの事が楽しみで堪らなくなる。
「早く着かないかなぁ~。学園島」
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