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アケルがベッドにダイブしてから数時間後、学園島に飛空挺が到着した。
空はすっかり暗くなり、街灯が等間隔設置されているだけで、頼りない月光が微かに辺りを照らしている。
アケルが飛空挺から出ると、ピッチリとしたスーツに緑色の眼鏡を掛けた女性が訊ねて来た。
「ねぇ、少し聞きたいんだけど、アケルって名前の少年知らないかしら」
優しい声音に柔和な微笑みを浮かべる女性、だが瞳の奥には軽い嫉妬心が見え隠れしている。
女性としては、やはりアケルの容姿は羨ましいのだろう。アケルは男だが。
女性の嫉妬心を理解した上で、アケルは花が咲きそうな程完璧な笑顔を浮かべた。
「それ僕の事だよ」
「……え?」
一瞬、スーツ姿の女性は何を言われたのか理解出来なかった。いや、したくなかった。
それもそうだろう。美少女よりも美少女みたいな少年アケルを同性だと勘違いし訊ね。軽く妬ましく思っていたら自分だと言われた。
緑色の眼鏡を掛けた女性としては、こんなに可愛い少年がいて堪るか!だ。
アケルは呆然としている女性の手を取ると、自分の股間に押し付けた。
「ね?有るでしょ」
「え、えぇ。有るわね」
頬を軽く紅潮させながら素早く手を引き戻し、その手を握ったり開いたりまるで何かを確かめるかのように繰り返している。
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