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「改めまして。僕がアケルだよ!お……女の人!」
一瞬、スーツ姿の女性の眉がぴくっと動いた。
「ねぇ今なんて言おうとしたのか言って御覧なさい?怒らないから」
「おばちゃん!」
「そこはおばさんでしょうが!良くないけど!」
予想の斜め上を躊躇無く言うアケルに思わず声を荒くしてしまう眼鏡の女性。
お約束だと面白くない、と独断で捻りを入れたアケルは、女性のリアクションに1人満足している。
「あはは!さ、学園まで案内して、おばあさん!」
「おいそこぉ!さっきよりも酷く成ってるぞ!そして腹抱えて笑うな横腹痛くしてんじゃない!どんだけ爆笑してんだ!」
「お、ばちゃん。鬼の皮が剥がれてるよ」
笑いを必死に堪えてる為か、苦し気にしながら言う。
「あぁ、御免ね。今すぐ優しいって誰が鬼だおい!?」
「うーん。ノリツッコミはいまいちだね」
いまいちな女性に笑いも引っ込み何処と無く冷めた様子で女性を見るアケル。勿論、演技だ。内心の爆笑が何時表に出るのかとひやひやしている。
「な、何がいけなかったのかしら?」
「もう、人間として駄目。いや寧ろ生物として駄目だね!」
「可愛い顔で明るく酷い事言われた!?」
「30て~ん!赤点だよ!」
「くっ。次はもっとて何この茶番!?」
呆気なくアケルのペースに乗せられ漸く女性は正気に戻る。もう既に色々と遅いが。
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