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アケルは悪戯に成功した気分で、困惑する少年を見上げている。
少年の身長が高いという訳ではなく。アケルの身長が低いのだ。本人は全く気にしていない。
「どうしたの?」
背伸びをし、故意に顔を近付けると赤髪の少年は顔を真っ赤にして後ろに下がる。少年が下がった分距離を詰めると助けを乞う様な眼を向けられた。
ゾクゾクする悪戯心を抑えて後ろに下がると、赤髪の少年は安堵した。
「わぁー、面白い」
自分にしか聞こえないぐらい小さな声で呟き、天使の笑みを浮かべるアケル。その中身は小悪魔である。
「ライ君だね?これから暫くよろしくね!」
ライの手を両手で包むようにしながら再接近。顔を赤くしたライは全力で顔を逸らして、おう、と言った。
その声は明らかに上擦っていた。
思春期男子を思う存分に弄んだアケルはもう片方、隣のドアの前に居る。
アケルの部屋は隅っことかではないので、当然両隣に挨拶をしなければならない。
インターホンを鳴らすと、二秒後にドアが開いた。
これには流石のアケルも短い声を上げて驚く。
顔を出したのは緑色の眼鏡を掛けた男子。アケルは首を傾げた。何処かで見た事があるような気がしたのだ。
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