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青年は爪弾くのを止め、何かを考えるように上を見上げた。
じばらくして、青年はもう一度、メモ帳に顔を戻し、そのメモ帳を眺めた。
いつからかあの日は
輝いて見えてた。
そこに帰りたいと
思っていた日も
今はもういつかの
あの日。
過去に想いを
はせる事。
振り返り浸る
そのむなしさを
知ってしまった。
思い出は思い出のまま。
そのままでよかったのに――
青年は顔を上げて、
「なんかなぁ……詩は出来てるんだけどなぁ……」
そう呟いて、ギターをもう一度、爪弾き始めた。
Amのアルペジオ。
切ない響きの一つ一つの音が、混じりあっていく。
青年の右手が止まる。
青年は一人うなずいた。
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