ひとつめのよる

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新しくはない2Kのアパート。優しいような寂しいような淡いオレンジ色に染められている薄暗い四畳半の部屋の中。 その光源は、床に置いてある、おしゃれなお気に入りのでも、スタンド式のお気に入りでもない。 少ししゃれた感じに、部屋の天井や、壁にいくつか予め設置されているような間接照明でもない。それに似合うような広さもないし、ソファや、テーブルも椅子もない。 あるのは、冬にはこたつになる小さなテーブル兼机と小さな座椅子。 その座椅子に座っている。テーブルの上には、ティーバッグで入れた紅茶の入ったマグカップと、カップから出したティーバッグと、カップの中身をかき混ぜたスプーンを置いた小さなお皿。
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