ひとつめのよる

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上を見上げれば目に映るのは天井に備え付けられた、上下が逆さまの半透明の白いドームが淡いオレンジ色に染められている。 常夜灯。 その優しいような寂しいような仄かな、淡いオレンジ色に満たされた薄暗い部屋。 私はそこにいる。 私はそこで紅茶を飲もうと思った。 テレビを点けて、泣きたかったり、笑いたかったりする時の為に録画してある物を探しながらふと思った。 別に泣きたくもないし、笑いたくもない。 そう思った。 そう思って嫌になって、テレビを消して、席を立ち冷蔵庫を開け中を見た。 冷蔵庫の中には、缶ビールと缶チューハイ。 私は缶チューハイを手に取り、冷蔵庫を閉め、その場で缶を開け、一口飲んで小さくため息を吐いた。
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