第1話

ひとつめのよる

薄暗い部屋。
正面に薄い緑の遮光カーテンが引かれている大きな窓。
部屋の中央に置かれた机兼テーブル。
その上にカップと、ティーバッグとスプーンを置いてある小さなお皿。
さっきまで座っていた座椅子。
その座椅子の正面に置いてある引出し付きの背の低いテレビラック。
その上に置かれた、小さくも大きくもないテレビ。
テレビラックの、背の低いスペースに収まっているハードディスク内蔵のＤＶＤプレイヤー。
座椅子の背面には閉まっている、隣の部屋との境の、木で出来ている両開きの引戸。

薄暗い部屋。
なんか寂しい。
虫の声が聞こえる。
でもそれを楽しむ気分じゃない。
でもテレビは点けたくない。