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「…何か聞きたいことがあれば、どうぞ。
俺に答えられることなら、何でも」
そう言って、わたしの顔を真っ直ぐに見る。
わたしはためらいながら、口を開いた。
「更科くんは、…美雪さんの…」
「うん、そう。中学1年からつき合ってた、カレシ。
周りには、隠してたけどね。もちろん、月子にも」
更科くんは白井さんの背中に目線を走らせてから、
「耀ちゃんは俺のこと、本当の弟みたいに可愛がってくれてたんだ。
美雪がお兄ちゃん子だから、なぜかいつも3人一緒でさ。
美雪がいない時でも2人で遊ぶくらい、仲良しだったんだよ。
夏は海、冬はスキーに連れて行ってもらったりしてさ」
ふと言葉を切って、…思い出に浸ろうとする自分を引き戻すように、更科くんは椅子に座り直し、姿勢を正した。
「…次の質問は?」
何から聞いていいか、言葉を探していると、更科くんはくすっと笑って、
「そうだな。……まず、どうして耀ちゃんが萌を助けに行ったのか、説明するよ」
ちら、とそちらを窺うと、白井さんは難しい表情で俯いていた。
「まあ、簡単に言っちゃうと、月子から聞いたんだけどね。
さっきまで俺、あいつと一緒にいたんだよ。
急に呼び出されてさ。身勝手に呼び付けるのはいつものことだから慣れてるんだけど。
今回はあいつ、随分と取り乱しててね」
わたしは、月子ちゃんが足早に倉庫を飛び出して行った様子を思い出した。
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