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「萌――!!…下、下!!」  大きな声で呼ばれ、キョロキョロしてから、廊下の窓の下を覗き込むと、校舎の下で、彩加が飛び跳ねながらこちらに手を振っていた。  その隣には、自転車を押す田辺くんの姿もある。 「萌、打ち上げ会場、場所聞いたー?」 「あ、うん、聞いた。…遅くなっちゃうと思うけど、顔出すから」 「うん、分かった!先に行ってるねー!」  わたしはしばらく、連れ立って歩いて行く彩加と田辺くんの後姿を見送っていた。  日の暮れかかった校庭の脇の道を、多くの人影が校門に向かって流れて行く。  文化祭初日を無事終えて、わたしたちはこのあと、クラス全員で初日打ち上げをすることになっていた。  毎年のことだけれど、駅前のカラオケ店にはきっと、他のクラスの生徒たちも大勢集まって、うちの制服で溢れ返っているはずだった。 『…校内に残っている生徒は、速やかに下校しましょう。 明日の朝の開門は、七時です。準備のために早く登校する生徒は…』  聞こえて来るのは、…下校放送の原稿を読む、月子ちゃんの声。  わたしは窓際を離れると、放送部室に向かって歩き出した。
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