鉄仙は似合わない

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私はため息を一つついて、切ってしまったラナンキュラスの花を水を張った小さなグラスに放す。 ――気になるなら、いっそのこと聞いてみればいい。 らしくなく、うじうじ悩む自分に嫌気が差す。 でも、確かめようとする度、どうしても声に出せないのだ。 取り返しがつかなくなりそうで。 いつか全てが足下から掬われてしまうんじゃないかって、私は怯えている。 そう、二ヶ月前の結婚式のあの日から。
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