-3-

11/15
前へ
/39ページ
次へ
 思わず赤面しながら、 「…でも…。卒業までガマンするって、二人で決めたでしょ」 「……」 「…ね?」 「……」  暴れん坊だった先生の目が、まるで夢から覚めたように大人しくなる。  あ。…我に返った…。  先生はしゅんとして、するっと手を引っ込めた。  わたしの身体を大事そうに抱き寄せ、おでこをくっつける。  …先生…。ホントにお酒、弱いんだね…。  …ていうか…。  …お酒って、…魔法の水かもしれない。  …この春山先生を、こんなに惑わせるなんて…まさに、麻薬。  …勉強になりました…。  がっくりしている先生の顔を見ていたら、…胸がキュンとして、ちょっとだけ、触らせてあげればよかったかな、という後悔が湧きあがって来る。 「…先生…」 「…ん」 「…いいよ。…触っても…」 「……」 「…ノーカウントにしてあげるから、…少しだけ、触る?」 「……」  再び、長い長い、間。  …わ…。…ものすっごい勢いで、葛藤してる…。 「…いい」  ……おっと。理性に軍配。  さすが先生……。  先生は拗ねたような顔で、おでこをくっつけたまま、わたしのパジャマのボタンを元通りに留めてくれた。  そして、きちんと襟の形を整えてから、わたしの身体をぎゅうっと抱きしめる。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1139人が本棚に入れています
本棚に追加