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「あの…」
鼻をつままれたまま言うと、先生が手を離した。
「…大樹さんて、…やっぱり、春山先生のこと、…好きなんですか?」
「…どういう質問、それ」
「え、だって、…キスしたり、耳舐めるのって、…恋愛感情があるからなんじゃ…」
「…そんなわけないだろ。あいつ、普通に女好きだよ」
「…えっ」
「ただのエロオヤジ」
「…でっ、…でもでも、…大樹さんの春山先生に対する感情って、…恋、に見えるんですけど…」
「そんなことないよ」
「…だけど…そうじゃなかったら、抱きついたり、キスしたりしませんよね」
「そう?…昔からされてるから、特に違和感がないけど」
「……」
わたしはこれ以上、二人の関係に踏み込むのは止めよう、と心に決めた。
男の友情って、…もしかしたら、わたしごときが及ばないほど、奥が深いのかもしれない。
二人でテレビを見ながら、優しく髪を撫でているうちに、先生の目は次第にとろんとしてきて、…やがて、すやすやと寝息を立て始めた。
その寝顔に見惚れているうちに、やがてわたしも大きな欠伸をして…。
初お泊まりの、長い長い夜。
わたしと先生は、ひとつのソファで膝枕をして、仲良く一緒に、朝までうたた寝をした。
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