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 ……あれっ。  反応がない。  怒っちゃったかな……。  しばらく待って、そろそろわたしの方から謝っておかないとまずいかな、と不安になって来た頃、着信ランプが点灯した。 『無理』 「……」  ……先生……。  今の長い間を考えると、…相当、迷ったんだね…。  わたしは思わず吹き出した。  …めちゃめちゃ考えた結果、どーーしても『好きだよ』メールは無理だったんだ…。  難しい顔をして画面を見つめている春山先生の顔を思い浮かべると、愛おしさに笑いが込み上げて来る。  ほんと、可愛い。先生…。  わたしは先程の写メを添付して、はるきち宛てに送信すると、携帯をポケットに戻た。  ふと、ブースの方に目をやる。  ――3年間、ありがとう。  真っ直ぐに向き合ってから、心の中で呟いて、ぺこりとお辞儀する。  そっと目を閉じると、…放送部のみんなの姿が、くっきりと浮かび上がって来た。  万優架は、――よく、窓際で髪にホットカーラーを巻きながら、雪村くんのことで愚痴っていた。  田辺くんは、大きなお弁当の前に、まずパンを一つ平らげて、最後には必ずポッキーを食べていた。  奈良崎先輩は、わたしがどんなに失敗しても、ブースから出ると必ず、『良かったよー!』と言って迎えてくれた。  そして――。  春山先生は、そんなわたしたちを、壁際で腕組みして、笑いながら見守ってくれていた。  放送部というこの場所にいなければ、知らなかったことは、数え切れない。  この場所で、…わたしは、両手でも抱えきれないくらい、たくさんの思い出を貰った。  そしてこの場所で、3年前より、わたしは少しだけ、大人になれた。  ドアを開け、壁際のスイッチに手を伸ばす。  パチ、と灯りを消し、私はゆっくりと放送部室のドアを閉めた。
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