背中だけの被写体

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何枚か撮影した後に、背中から撮る事になって机に向かって椅子に座る。仕事を始める雰囲気を出す。草野とアレコレ有って辞める前は、普通のOLだったから、なんだか会社勤めをしていた頃のようだ。 懐かしい。 書類らしき物を整理している印象だったり、パソコンでデータ作成している印象での撮影らしい。パソコンの時は、顔が写らないように、パソコン越しに正面からも撮られた。 シャッターの音が途切れた時に何気なく山崎さんをチラリと見れば、真剣な表情で明るさを調整していた。 ドキッ。 としてしまったのが、悔しい。きちんと年齢は聞いてないが、私より15歳くらいは下だろう。そんな年下に不覚にもキュンとしてしまうなんて、情けない。というか、もしかしたら未成年かもしれないのだ。 ……そう思うと、なんだかいけない事をしているみたいよね。トキめいた事さえ、ダメな気がするわ。 軽く頭を振って気持ちを切り替える。バカな事を考える余裕があるなら、さっさと終わらせて帰らせてもらわないと。今夜は、月に1度のプチ贅沢の日。ちょっと贅沢をして外食して、お酒も少し嗜んで、ほろ酔い気分で帰るつもりだ。 本当は、先週の休みに贅沢をしようと思っていた。でも、急にこういう話が来たから、今日にした。
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