プロローグ

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もう半年くらい経っただろうか。 季節は夏を終え残暑厳しい秋を迎えていた。 そんな時に、届いた真っ赤な封筒。 それを手にとった瞬間の俺の台詞はこうだ。 「やべぇ、死んだ」 殺戮ゲームへの招待状かと思ったのだ。 が、ふと既視感を覚える。 どこかで見たことのある封筒だな。 バサバサと、鳥の羽ばたきが聞こえた。上空を見ると、白いサギが日の沈む方へ飛び去っていくところだった。 ………詐欺。 思い出した。これはいつぞやの詐欺スカウト事件の封筒ではないか。 数ヶ月前に見たものと全く変わらない封筒の形状に、呆気にとられた。 懲りずにまた詐欺活動か。 だが、もうこれが偽物だということは承知している。 以前このことをツゥイッタで呟いたことがあった。 ゴンザレス@cafe_ore 12分前 知らぬ学校からスカウトの手紙がきた 俺の優秀さがついに世に広まり出したらしい( ^ω^ ) ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー タイダマン@maccha_ore @cafe_ore 詐欺乙wwww という友からのツイートがあったことは、今でも鮮明に覚えている。 しかも俺、もう進学先の高校決まってるし。 秋宮という近所の学校。 すでに学校見学にも行った。 試験勉強も始めてる。俺のクセに。 そして例のツイートの悪友も、同じ学校に通うらしい。 てか、奴が「秋宮行くわ俺」って言ったから俺もそこにしたんだけどね。 ここだけの話だがな。 奴には「お前が決める前から俺は秋宮に決めてた」と咄嗟に嘘をついた。 奴は信じていたがな。 …もう、認めてしまうか。
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