5人が本棚に入れています
本棚に追加
雷のせいで真っ暗になってしまった部屋で僕は息を殺す。
自分の部屋にも関わらず、だ。
天井の蛍光灯が消え、エアコンも消れ、キッチンの冷蔵庫の冷蔵音も消えている。窓ガラス1枚を隔てた外で打ち付ける雨音と、時折響く雷が音源のほとんど。
しかし、僕しかいないこの部屋に、僕以外の息遣い。
だから、その存在を確かめるため、息を殺す。
一閃。
雷の光がカーテンの隙間から差し込む。
その一瞬の光で僕は確信した。それの存在を。確信というより、この目で確認した、が正しいけど。
雷鳴が轟く。
瞼に焼きついたそれは、僕より頭一つくらい小さかった。そして、黒々とした長い髪にほっそりとした体。そう。
それは、女の子だった…。
女の子の姿をしたそれは、大きな目で、僕を見上げていた。
最初のコメントを投稿しよう!