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「…うぷっ…」
その場にうずくまり、吐きそうなのを我慢する。
「ん゛…ぐ…」
身の毛がよだつのを感じ、走って教室に駆け込む。
「ふ…う゛…」
(怖い)
不意に浮かぶ恐怖心。
鞄を起き、机に突っ伏す…
「……っ!」
何かを感じ、顔をあげる…。
「あ、晶、くん…っ!」
「……。」
教室のドアの近くに晶が居るのに気付くと、涙を流しながら 安心する巫女。
晶を見つめる巫女。
しかし晶の目は巫女をみていない。
けれど巫女にとってはこれ以上に安心なことはなかった。
「晶、くん…ッあき、ら…く……ぅ…」
「……」
「よが、人、に…ヒグッウグ」
「うるさい。」
「ッ」
先まで安心感でほぐれた筋肉が再び引き締まる。
体が強ばる。
力が入る。
初めて聞く晶の声は、冷たく、突き刺さるような声。
「ッ……!」
巫女は朦朧とした意識の中、廊下に飛び出した。
「…。」
誰もいない教室で、晶はあるものをずっと見つめていた。
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