15の夜

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窓ガラスが割れた。 ささやかなまどろみが破られた。一瞬で打ち崩される静寂。 身を起こし、暗闇を見据えていると家族が起きて来る気配がした。 わたしの部屋のドアがゆっくりと開かれる。相手は家族だとわかっているのに、首の後ろの産毛さえも総毛立つ。 「お前たちは此処にいろ。いいな、出てくるなよ」 そう言いおいて、父は家の外へ出て行った。 「お義兄さんに電話しなきゃ」 部屋の入口で母が呟いた。 無駄なことを、とわたしは呟く。 道を挟んだ向こう側に住んでいる親戚は、「何かあったらすぐ来るから」と言いながら、その姿を一度も見せたことがない。こんな時間にこんな田舎で鳴り響く破壊音に気付かない人間がどこにいる。電話なんて、見捨てられたことをわざわざ確認させられるだけだ。 そもそも、電話線が繋がっていない。いつの頃からか真夜中の呼び鈴がうるさくて電話線を抜くのが消灯の代わりになっていた。 電話線は、今、父親が出て行った玄関にある。
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