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明らかに、
今まで私が実在すると考えてきた生物個体とは違う。
そんな生き物たちが、
私たちとは少しズレた所で生活を共にしている。
そんな恐ろしい日常が、
私の目前でだけ起こっていた――
例えば人混みの中、
一点人が捌けている所に。
例えば、
ふと見上げた信号機の笠の上に。
光の射さない裏路地ともなれば、
多くのそれが最もそれらしい様子で妖しく蠢いていた。
それなのに誰も気付かない。
でもそれは、
けしておかしいことではなくて……
普段の私からしてみても、
異常なのは私の方だ。
足早に帰路につく生徒たちの合間に、
私の視線は自然と引き寄せられた。
何処を見ても異常だが、
人に触れられる、
皆に認識はされるということが、
私には何よりの救いだった。
すぐ忘れられようと認識がされる以上、
私が既に死んでいるなんて馬鹿げた話にはならない気がするから……
私は故意に視線を、
あってはならぬ彼らへと向けた。
彼らは少なからず危ない見た目をしている。
しかし、
だからと言って何もしてこない。
ただ私と同じように、
向こうもこちらをじっと見てくるだけだ。
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