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そんな彼らを平然と見ている私は、
自分が思っている以上に不味い所まできているのかもしれない。
随分と馴れてしまったというべきか、
元から気味の悪いくらいに冷静だったと考えるべきか――
異常である自分の存在を、
ちゃんと落ち着いて理解できる自分がいる。
物語の中の霊能力者とは、
きっとこんな気分なんだろうな……
私は辺りを見回した。
誰にも見えない、私しか見ることのできない彼らは、
私しか見えてないといったように、
私だけを見ている。
人ならざるモノの視線は、
私を1秒たりとも自由にはさせてくれない。
四六時中視線を感じているのは、
気分がいいものとは呼べなかった。
軽く目眩を伴う倦怠感。
ふらりとした所で心配してくれる人物がいる訳でもなく、
またそのこと考えると尚更、
自分独りで何とかしようと奮起もした。
自然と寝れない夜が続いた。
何から考えればいいのだろう。
何処に突破口があるのだろう。
毎日同じ思いを繰り返している。
溜め息混じりに混沌とした住宅街の空を仰げば、
半透明なタワーのようなものが視界を遮った。
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