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「ごちそうさま」
ごちそうさまとは、日本で使われる、食事を作ってくれた人や食事そのもの、それと食事の大元である牛さんやキャベツさんへ贈る謝辞である。つまり僕は晩御飯を食べ終えたのだった。
使った食器を流しに持っていき、シンクにあるたらいに水を張ってその中に浸けた。
そして僕は勉強するために二階にある自室へと向かった。一応、僕は受験生なのである。
ドアを開けて中にはいった。
通学カバンをどすんと脇において、中を覗き込む。
しばしどの教科をしようか考えて、得意な数学をすることに決めた。通学カバンから必要な教材を取り出す。
教科書、参考書、問題集、ノート、下敷き、筆箱。
小学校から使っている学習机に、それらを並べて向かい合う。
よし、やるか。
問題集のページを開いた。確率のページだった。僕は数学の中でも確率は得意な分野だった。学力の平均値を上げるには『得意』を伸ばすよりも『苦手』を克服したほうが良いと聞いたことがある。それに照らして考えるならば、他の苦手な単元をした方が効果的に学力を伸ばすことができるということは自明の理だ。僕は確率に別れを告げて別のページを開いた。
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