第1話

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開いた先のページは微積分のページだった。しかし、実は昨日やったページこそが微積分のページであり、定着させるならば今日よりも明日やった方が良いと思う。流石に昨日やったばかりのことは忘れはしまい。僕はまた別のページを開いた。 次は数列のページだった。僕はむむむと眉を寄せた。数列の問題は、基礎問こそ簡単だけれど、応用問題となると途端に牙を剥いて、握ったシャープペンシルの滑りが悪くなるのだ。下手に歯向かってたとしても、返り討ちにあって、回答の解説を握り締めて悶々としている未来が予測される。 学校で演習をしてから挑むべきだと判断して、僕は別のページを開いた。 数分後。そこには、精妙な論理的帰結を経て、数学の全ての単元を今はやる時期ではないと切って捨て、問題集を静かに閉じる僕の姿があった。 いやいや。怠けているわけではないのですよー。ホントだよー。 だるくなり、ベッドにごろんと横になる。そもそも、なんで勉強なぞせにゃならんのか。 「いやまあ、受験生だからなんですけれどもね……」 ……いや。いやいや。 そう短絡的に決め付けずに、柔軟な発想、自由な思考でもう少し深い考察をしよう。なにごとも、考えれば見える景色も変わるものだ。もしかしたら、勉強しなくても成績が上がる魔法のような方法が見つかるかもしれない。 ……流石にそれはどうかなぁ。 しかし何も分からずに勉強するよりも、勉強に取り組む意義をキチンと見出だしていたほうがやる気もあがると思う。やはり考えるにこしたことはない。哲学タイム、スタートである。
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