第1話

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まず手始めに、さっきの『なぜ受験生は勉強しなければならないのか』だけれど、これは受験生に限って言うならば、普通に大学入試をパスするためだろうと思われる。先生方が二口目にはそう言っているから間違いないはずだ。 じゃあ、なんで受験をパスしてまで大学に行かなければならないのか。 それは……今が学歴社会で大卒の方が給金が手厚いから、だろうか。 ということは、もしかしたら、僕が今勉強しているのは、将来の収入のためなのか。 「うーん……そうかぁ、お金かー……」 あっさい思索だったけれど、出た結論に少し気落ちする。 正直、僕にとっては、お金は別に有ってもなくてもどうでも良いのだった。 いや、勘違いを避ける為に言わせてもらえるならば、これは別に僕が無欲な聖人君子だからというわけでも世を儚む仙人だからというわけでもない。 単に友達がいないからである。少なくとも僕にお金が必要ない理由を、僕はそう思っている 疑わしく思うならぜひとも考えてほしいのだけど、お金の、最低限必要な額というのは、存外少ないものだと思うのだ。
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