一章

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[おい、シリュウ。剣術の稽古はやってるか?お前は素質はあるんだから、ちゃんとやれば誰にも負けない剣士になれるぞ。] 俺に微笑みながら語りかける男。ぼやけてだが、はっきりとわかる。俺の親父だ。夢を見るといつも、俺を心配そうに見てくる。俺はもう16になったんだぜ?親父が居なくなって10年も生きてこれたんだ。心配はないさ。ただ一つ言えるなら、俺を置いて行かないでくれ。 王都ガルディオス郊外 宿屋バーミン2階 この夢を見るといつも枕元が塗れている。我ながら情けない。喪失感を押しつぶすように身体をゆっくり起こし、着替えを行う。毎日の何気ない光景である。 ただ、違うのは街中の熱気だけ、今日は年に一度のシャイン養成塾のフォトンの入試が行われる大事な日である。 ただし、入試の資格があるのはシャインから推薦状の届いた一部の人間だけである。 シリュウは着替えをすませると階段を足早に駆け下り、厨房にたつ女主人に話しかけた。
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