一章

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[バーミンおばさん。今日は書き入れ時だから、朝から市街にでてくるよ。] バーミンと呼ばれた婦人は、ふと振り返り笑顔で返した。 [そうかい?なら、お願いするよ。あんまり無理するんじゃないよ?] シリュウは首を傾げ、淡々と返した。 [何を無理するんだい?上客を連れてくるからさ!] そう言い残すと、壁に掛けてあった上着を羽織り、店を後にした。 シリュウの仕事は市街での宿屋の宣伝活動。仕事柄、身なりはきちんとし、言葉も流暢である。当たり障りのない言葉選びに秀で、好感の持てる青年である。天性のベビーフェイスも相まって中年の貴婦人からは絶大な人気を誇っていた。
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