一章

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シリュウの活動場所は、ガルディオスを流れる大河の上に架けられた。大橋の上である。ここは、シリュウにとって出会いと別れの橋である。 大河に反射する日を見ながら、シリュウは10年前の自分を重ねていた。 10年前__ バーミンおばさんに手を握られ、大きな背中を見送った。背中に大剣を背負い真っ白な制服は日の光を一心に浴び、神々しさまで感じた。 大きな背中の男は右手の親指を突き出し、俺に見えるように高く天に向かいそれを突き上げた。 こちらを振り向くことはなかった。 俺は泣いていた。お父さんと叫びながらずっと… __ あれから10年、親父に追いつけると思っていた。だが、現実は甘くなかった。 深いため息をつき終えるとシリュウは、頬を2、3回叩き、気合いを入れた。 表情はまさに、仕事人。さぁ!という気持ちで勢いよく、振り返る。 何かにぶつかった。柔らかい感触だった。女の子が地面に倒れていた。青色が赤レンガ造の橋に映える可憐な少女だった。
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