一章

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[わりぃ。ぼーっとしてたわ。大丈夫?怪我ない?] シリュウは慌てて、少女に駆け寄り心配そうに見つめた。少女の吸い込まれるような瞳にシリュウは、思わず目を離せずにいた。 [あの、ちょっと足を挫いちゃって…] 少女はばつの悪そうに顔を伏せ、問いに答えた。 [まじか。わりぃ。家で手当させ…] シリュウが答えようとすると、それを裂くように微かな声で返答がきた。 [それじゃ、間に合わない…試験なの…] 試験!?この日の試験と言えば万人誰に聞いても同じ答えしか返ってこない。フォトンの入塾試験以外ありえない。試験資格を無断で破棄した者は向こう1年試験を受けられないのも常識である。 シリュウは頭を掻きながら、背を少女に向け、しゃがみ込んだ。 [俺の所為で君が不合格になったら、寝覚めが悪い。試験場は王宮だよね?送るよ。] 少女は困惑しながら、ただ背だけを見つめていた。 [はやくっ!!] シリュウの鬼気迫る言葉に、少女は瞳を閉じ、背に身をゆだねた。
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