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夜。
教室では1時限目の授業の時間で、教師が生徒たちに数学を教えていた。
黒板には幾つかの数式と、数字が書かれてある。
教師はその内のひとつを説明していた。
「―で、ここにこの式を代入して……」
「むー……」
教壇の目の前の席で、短い茶髪の少女―ななみんが難しい顔で頬杖をついていた。
少しして、白のシャープペンシルをノートに滑らせていく。
その様子を隣の席で見ていた金髪の少女―れいちゃんが、密かに驚いていた。
(ななみんがちゃんとノートとってるなんて珍しい……)
ななみんは普段ノートをとらない。
黒板に書かれてあるのを見てはいる。
しかし、写す作業を面倒くさがっているせいだ。
そのためか、授業の内容をあまり理解していない。
授業中にも関わらず、何か別のことを考えているせいでもあるが。
「ここがこうなってー」
だが、今ななみんはシャープペンシルをノートに滑らせている。
何度か黒板を見てはひとり頷いていた。
(授業の内容も理解してるみたい)
今回は大丈夫そうだ。
そう思ったれいちゃんは、自らも授業に集中しようとななみんから視線を外した。
「あーだめだめー。これじゃ矛盾しちゃうんよー」
(……ん?)
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