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「ななみんってば最近走って来てるけど……どうしたの?」
最近、教室へ駆け込むようになっているななみん。
その理由が気になったれいちゃんは尋ねた。
「記録のためだよ」
机に突っ伏したまま、ななみんは応える。
「記録?」
意味の分からないれいちゃんは、小首を傾げた。
すると、ななみんは勢い良く顔を上げた。
「そう!家から学校まで何分で来れるか計ってんの。因みに最高記録は10分!!」
瞳を生き生きと輝かせて、得意気に説明した。
「確かななみんの家って……」
敢えて内容には突っ込まず、れいちゃんは記憶を探った。
何度かれいちゃんはななみんの家を訪れている。
「……学校から家までは自転車で約30分かかります」
本に視線を戻していたもみじさんが、ぽつりと言った。
もみじさんもまた、ななみんの家には何度か行ったことがある。
「30分を10分で来れたんよ!すごいっしょ?」
頑張ったんだよ、と言わんばかりに、ななみんがれいちゃんに迫る。
「あー……うん。すごいねー」
曖昧な笑みを浮かべて、れいちゃんは後退りした。
「……信号を守れば尚良いのですが」
感情のこもらない音色で、もみじさんはまたもぽつりと言った。
「守ってないの!?」
ななみんの信号無視を知ったれいちゃんは、驚いて立ち上がる。
「てへぺろ☆」
ななみんに反省の色は無かった。
「てへぺろ☆じゃないから!?」
れいちゃんの突っ込みが、教室内で反響した。
信号だけではなく、交通ルールは守りましょう。
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