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“「熱海だよ、熱海ー!!」”
旅行を前日に控え、浮かれる依子の顔が思い出される。
と言うか、最早それしか覚えていない。
荷物の準備はお母さんがしてくれたし、新幹線の手配もその旅先の道案内はお父さんがしてくれたし、
はっきり言って俺がやった事など何も無かった。
俺に何が出来たと言うのだろう。
「うん…改めて言うと露骨にかっこ悪いよね。ただの家族旅行なのにね。」
そう、俺と父さんと母さんとの三人きりの家族旅行だった。
家族水入らず旅行の筈だった。
だが、何でか知らんけど依子が着いて来たのだった。
「わ、悪かったわね!!」
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