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今まで一度も幸奈ちゃんに触れたことのないパパが、幸奈ちゃんを抱き上げ頭を撫でた。
パパの行動に、私も良も顔を見合せた。幸奈ちゃんは恥ずかしそうに、パパの首にギュッと抱き着いた。
「偉いぞ。よく泣かなかったな。もう大丈夫だよ」
私はパパと幸奈ちゃんを見て涙ぐむ。パパは幸奈ちゃんを片手で抱いたまま前方に視線を向けた。
私はパパの腕に手を回し、良の元へ一歩ずつ歩く。
良の前に立つと、パパは良に一言だけ言葉を発した。
「返品は、お断りだからな」
いつもおっかないパパが、口角を引き上げニヤリと笑い冗談を言った。
「返品はお断り」
幸奈ちゃんがパパの腕の中で、口調を真似る。挙式途中なのに、私は可笑しくて笑ってしまった。
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