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四月一日、夕方。
岬{みさき}健介は夕飯の支度をしていた。
今日は両親ともに仕事で遅くなるらしいし、春休み中でやることもないので自分から買って出たのだ。
「お兄ちゃーん、今日は何作るのー?」
リビングの方から妹の知子{ともこ}の声がする。
知子は健介とは四つ違いで、今年で十三歳になるのだがまだ兄離れが始まっていないらしく、特にこの長期休暇中は健介にずっとべったりである。
「今日は肉じゃがとほうれん草の胡麻和え、それにご飯とみそ汁だぞー」
とキッチンから返事をしておく。
「やったあ」と嬉しそうな声が聞こえてきた。
肉じゃがは知子の好きな料理の一つである。
「あ、何か手伝おっか?」
「本当に? それじゃあピーラーでじゃがいもの皮を剥いておいてもらえると助かるな」
「了解しましたっ」
知子は気分がいいらしく、鼻唄まじりに軽快に皮を剥いていく。
あっという間にじゃがいも全部が裸になった。
「何か今日いいことあったのか?」
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