第3話

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「えー、だってお兄ちゃんと二人っきりだから、なんか新婚生活みたいだなーって思って」 「まあ俺と知子が結婚することはないんだけどな」  当たり前のことを健介が指摘するが、知子はそれを意に介していないようでにっこり笑顔のままである。 「……結婚することはないんだぞ?」 「ふふふー。でもあたしたち法的には結婚できるんだよー?」 「誰がそんなこと言ったんだよ」  と、妹の剥いてくれたじゃがいもを乱切りにしながら訊ねる。 「某ネットの知恵袋で相談したらそーゆー回答が返ってきました!    それで今日のあたしは特別にご機嫌ってわけよ、お・兄・ちゃ・ん♪」  健介は話を聞きながら切り終わった材料を鍋に入れ、冷蔵庫からすき焼きのタレを取り出す。  それを見て知子がコンロ下の収納スペースからみりんを取り出した。  この二つで味付けするのが岬家流なのである。 「知子、そういうネットの誤った知識に踊らされてると将来碌な目に遭わないぞ」 「間違ってなんかないもん。ちゃんと理路整然とした文章で質問したら理路整然とした文章で返事が……」
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