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誘われるままに健介も川の中に勢いよく飛び込む。
シャツも短パンも脱がずにそのまま飛び込んだ。あとで母親に叱られるだろうが、そんなことよりも先に体が動いてしまったのだからしょうがない。
水の中は冷たくて、健介は解放感にしばし浸っていた。
肩をつつかれて目を開けるとふみが鼻と鼻がぶつかりそうな距離でにんまりと笑っている。『どう、最高だろう?』とでも言いたげで、彼も目だけで『そりゃ、最高の心地だよ』と返事した。
夏で、暑くて、彼は十歳だった。
その夏は、楽しいことも不思議なことも切ないことも悲しいことも、全部がほとんど同時にやって来た夏だった。
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