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突然、何の前触れもなく部屋全体が眩{まばゆ}い光に包まれた。
裕美子は「ふぇっ!?」と間抜けな声を上げてその場に尻もちをついてしまう。だって、本当に突然のことで訳が分からなかったのだから。それは校長も同様のようで「うひい!?」と豚みたいな声を上げ、大きな音を立ててすっ転んでいた。一体何が起きたというのだろうか。
「ん……?」
光が収まったようなので、目を開けてみるとさっきまで何もなかったところに奇妙な格好をした少女三人が立っていた。
いや、チャイナドレス姿の裕美子がそう思うのもおかしいのかもしれないが、ともかく、目の前の少女たちの格好も大概だった。
少女三人のうち二人は大学生くらいの年齢に見え、もう一人はせいぜい中学生一年生くらいの背丈だ。
その三人ともが、ファンタジー映画の中でしかお目にかかったことがないような、豪奢なドレスを着ていたのだ。
紫色を基調としており、金や赤のラインが入ったドレス。
一目で高価な代物であると分かるそれを着た少女たちは辺りをきょろきょろと見回す。
三人のうちの一人、きれいな青色の髪を二つに結び、左目に黒い眼帯をかけている少女と裕美子の目が合ってしまう。
「おい、貴様」
「は、はいっ」
その少女の喋り方には妙な威圧感があり、思わず背筋を伸ばして返事をしてしまう。
「ここは日本の静丘県の浜沫{はままつ}市にある私立喜多大路高校で間違いないな?」
「そ、そうです、が……?」
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